月別アーカイブ: 2014年7月

【第一回】下痢の原因について


こんにちは。ルシアンの動物看護師の金丸です。

最近ルシアンにお問い合わせ頂く内容で一番多いのが
「下痢」についてのお問い合わせです。

1

とよく聞かれるのですが、原因はなかなか特定できません。

ペットのプロなのにどうしてわからないの?と思うかも知れませんが、実はこの「下痢」とっても獣医師さん、動物看護師さん泣かせなんです。

それと言うのも「下痢」と聞いて考えられる原因は

●食事の時間が変わった
●腸内環境が乱れている
●運動をしていた
●ストレス
●寄生虫感染
●食べ物を変えた
●食物アレルギー
●免疫系の病気
●腐ったものや痛んだものを食べてしまった
●異物を食べてしまった
●気温差
●その他の疾患

少し考えただけでもこんなに出てきます。

「下痢」と「多飲多尿」と「嘔吐」はどの病気の症状にも当てはまるといわれるほど、頻繁に見られる症状です。

食事の時間を変えただけでもお腹が弱い子は便が緩くなってしまいますし、寄生虫に感染している場合や、免疫系の病気にかかっても、便が緩くなります。

そのため、下痢の原因を特定するには、飼い主様の話を聞きながら疑わしい原因を1つずつ、つぶしていくという方法になります。
では、そもそもどういう仕組みで下痢になるのでしょうか。

下痢の仕組みは?

(1)蠕動(ぜんどう)運動が活発になったとき

蠕動(ぜんどう)運動とは消化管が伸び縮みしながら、食べ物を直腸まで移動させる役割のことです。

蠕動1

ゆっくりと移動しながら食べ物から栄養を取り、水分を再吸収して直腸へと運んでいくのですが、この蠕動(ぜんどう)運動が活発になりすぎると早く食べ物が通過してしまい、便が緩くなります。

蠕動2
(2)水分の再吸収がうまくいっていないとき

便にはもともと多くの水分が含まれています。
大腸に便が到達すると、水分を再吸収して適度な堅さにします。
何らかの理由で再吸収がうまくいっていない場合、便に水分が多く残り便が緩くなります。

蠕動3
運動したときや食べ物を食べた直後には蠕動(ぜんどう)運動が活発になるため、便が緩くなっても問題ありません。また食事の時間が変わった、食べ物を変えただけでも下痢になってしまう場合があるため、下痢をしてもわんちゃん・猫ちゃんが元気で、5日以上下痢が続かなければ、様子を見守っていて大丈夫です。

5日以上たっても下痢が続く場合には、寄生虫、その他の疾患なども原因であることも考えて、
動物病院で検査をしましょう。

 

こんな仕草していませんか?

また、わんちゃんや猫ちゃんが「うーんうーん」と力を入れて便をしているのに、なかなか便がでてこない・・・

この仕草は「しぶり」といいます。

2

便が直腸にくると「便がしたい」という反応が脳に伝わります。
しぶりは直腸に便がないのに便がしたいという反応がおきてしまうことをいいます。

便がないのに便をしようとするので、ずっと便をする体制で、力を入れているけどなにも出で来ないということになってしまいます。
ではなぜ「便がないのに便がしたい」という反応が起きてしまうのでしょうか?
原因のひとつに「前立腺肥大」があげられます。

前立腺はこの位置になります。

蠕動4

前立腺は直腸のすぐ側にあるため、ここが肥大してしまうと、直腸に刺激がおき、便がしたいという反応が出でしまいます。

前立腺肥大は去勢をしていない子で特に年齢が高くなった男の子に見られます。
肥大しても症状として現れず、日常生活にまったく支障が無い場合もあります。

ただし、膀胱が近くにあるため前立腺から細菌が移ってしまい、膀胱炎になることもあります。おしっこをすると痛がったり、腹部を触られると嫌がる場合は注意してください。

必ずしも前立腺肥大だけが原因ではありませんが、しぶりが見られたら可能性の一つとして考えてみましょう。

第一回目の「下痢の原因」はここまでです。
第二回目は「寄生虫と下痢の関連性」についてご説明します。


  • 倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業 / 日本動物看護協会 認定動物看護師 / 皆様の大切な家族が元気に過ごせるように、心を込めてサポートいたします。お気軽にご相談ください。趣味はガーデニングとアロマセラピー。好物はチーズケーキとかりんとうです。