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肝臓の数値の見方


こんにちは、動物看護師の金丸です。

動物病院にいって血液検査をしたときに「肝臓の数値が悪いね」と言われたことはありませんか。「RBC」や「PCV」などの検査項目が並んでいますが、肝臓が悪いときはどの項目を見ればいいのでしょうか。

今回は肝臓の数値についてお話します。

肝臓の数値ってなに?

肝臓の数値
血液検査では、GOT(AST)とGPT(ALT)とよばれる2つの数値をみて、肝臓がどのような状態なのかを確認します。GOT(AST)とGPT(ALT)は肝臓に含まれる酵素です。この酵素は、肝臓がダメージを受けると血液中に多く流れてきます。そのため、GOT(AST)とGPT(ALT)の数値が上がると、肝臓に何らかの異常がおきているということがわかるのです。

数値が上がったら危険?

数値が
数値が悪くなっているからすぐにお薬が必要かというとそうではありません。ウィルス感染やストレス、飲んでいるお薬の影響、老化などが原因で一時的に上がっている場合もあるため、少し期間を置いて何度か血液検査をすると正確な数値を把握することができます。

他に気をつけたい項目は?

気をつける
肝臓の数値が悪いと言われた場合は、こんな項目も一緒に確認しましょう。

Hb(ヘモグロビン)

赤血球の中に存在するタンパク質のことです。酸素を運ぶ役割があります。鉄分はヘモグロビンの元となるので少なくなると酸欠や貧血の症状が現れます。

MCV(平均赤血球容積)

赤血球1 個あたりの体積の平均がわかります。赤血球が小さいとMCV は低くなり、大きいとMCV は高くなります。

MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)

赤血球の中に含まれるヘモグロビン濃度がわかります。少なければ赤血球中のヘモグロビンが薄いということになります。

Alb(アルブミン)

アルブミンは血液の水分量を調整する役割があります。アルブミンが増えると血管内の水分を保持することができ、減ると血管内の水分が出ていきます。そのため、アルブミンが減るとむくみが発生します。また、肝臓でしか作られないため、このアルブミンが低くなると、肝臓に何らかの異常が出ていることがわかります。

Glob(グロブリン)

グロブリンは、肝臓のほかにリンパ節、腸管、骨髄などのリンパ装置と呼ばれる器官でつくられています。感染や外傷などで炎症が起こると、免疫システムが活性化するためグロブリン値は高くなります。

動物病院で検査結果を渡されたときに、項目の見方を覚えておくと出ている症状や治療が結びつくのでわかりやすいですよ。ぜひ参考にしてみてください。


  • 倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業 / 日本動物看護協会 認定動物看護師 / 皆様の大切な家族が元気に過ごせるように、心を込めてサポートいたします。お気軽にご相談ください。趣味はガーデニングとアロマセラピー。好物はチーズケーキとかりんとうです。

夏は肝臓に注意!!


こんにちは、動物看護師の金丸です。

毎日、蒸し暑い日が続いていますね。
早くも暑さで食欲が落ちてきているというわんちゃん、猫ちゃん多いのではないでしょうか?
こんな蒸し暑い時期に労わってあげたいのが「肝臓」です。

暑さで体温調整がうまくできないと食欲が落ちてきます。
食欲が落ちてしまうと、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの体を元気にする栄養が取れず、肝臓の働きが落ちてきてしまいます。

今回は肝臓が弱っているときにオススメな食事をご紹介します。

肝臓の働きって?

肝臓って
大きく分けると3つ働きがあります。

①「解毒」体に入ってきたアルコールや薬物などの有害物質を毒性のない物質に作り変えて、体外に排出します。

②「栄養素の合成・代謝・貯蔵」食事から取り込んだ栄養素を利用しやすいように合成、代謝貯蔵し、必要なときに血液中へ放出します。

③「胆汁の合成・代謝」古くなった血液からできた※ビリルビンを処理し、胆汁を合成、代謝します。胆汁は食べ物を消化するときに分泌されます。

※ビリルビンとは・・・寿命を終えて分解された赤血球の中の「ヘモグロビン」という成分が変化してできた物質

食欲と肝機能の関係

食欲と肝機能肝臓の働きというと、分解や解毒を思い浮かべますが、それだけではなく、上で説明したように、生きるために大切なエネルギーを作り出したり蓄えたりする働きをしています。 そのため、肝機能が低下すると、エネルギーが作り出されなくなり、疲労が大きくなります。

お勧めなのは良質なタンパク質

良いタンパク質
肝臓に問題が出てきた場合、食事面で大切なのは「良質なタンパク質」を摂ることです。少し前までは肝臓や腎臓に問題がある場合は、タンパク質の摂取を控えた食事が勧められてきましたが、最近では重要なのは「たんぱく質の量」ではなく「タンパク質の質」だと言われています。では、良質なタンパク質とはどのようなものでしょうか。

プロテインスコアが高い

通常、動物性のタンパク質は植物性のタンパク質に比べて利用効率が高いので、肉類をタンパク質源としたフードのほうが、肝臓や腎臓に対する負担は少ないと考えられます。
プロテインスコアの低い食物は必要量を満たすため多く摂らねばならず、それだけ未消化タンパクの割合が増えます。そのため肝臓が悪いという場合は、動物性タンパク質が多く含まれた食事をお勧めします。
また、体や臓器はタンパク質で作られています。悪くなった部分の修復や機能を回復するためにも質の良いたんぱく質が必要です。

抗生物質やホルモン剤などの薬剤を使用していない

鶏や牛を育てるときに「抗生物質」や「ホルモン剤」を使用していると、それはペットフードの中にも混入します。そのような薬剤が含まれたフードを食べると肝臓が無害なものに変えるために動き続けなければならず、肝臓に負担がかかってしまいます。
肝臓の働きが落ちているときは、原材料の質にも気を使いましょう。

ビタミンの補給も大切

ビタミン
肝臓にはビタミンを貯蔵するという働きもあるため、肝臓が悪くなるとビタミンが不足しがちです。ハーブのサプリメントなどでビタミンを補いましょう。

「DHA」や「EPA」も摂取しましょう

魚
肝臓は免疫力をつかさどる臓器です。肝臓の働きが悪くなると免疫力も低下してしまいます。青魚に含まれる「DHA」や「EPA」は免疫力を高めるといわれていますので、お魚を摂取するのもお勧めです。

オススメなフードとサプリメントは?

オススメjpg

グレインフリー

良質なタンパク質が多く含まれています。原材料もオーガニックなので安心です。
※魚はMSCのものを使用しています。
グレインフリー

健康オールスターズ

肝機能をサポートするダンデリオンルートが入っている「健康オールスターズ」がお勧めです。ふりかけ状になっているのでドライフードと一緒に摂取することができます。
※胆汁管の障害、重篤な胆のう炎と腸障害の場合は使用しない
健康オール

自然主義 ラメール

ラメールは青魚が主原料なのでDHAやEPAが豊富に含まれています。
ふりかけタイプのサプリメントです。毎日手軽にお魚を摂取することができます。
lamer

わんちゃん、猫ちゃんの食欲が落ちてきたという場合は、肝臓をケアするためにもぜひ取り入れてみてくださいね。


  • 倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業 / 日本動物看護協会 認定動物看護師 / 皆様の大切な家族が元気に過ごせるように、心を込めてサポートいたします。お気軽にご相談ください。趣味はガーデニングとアロマセラピー。好物はチーズケーキとかりんとうです。