こんにちは、動物看護師の金丸です。
暑さが和らぎ過ごしやすい季節になりましたね。
キンモクセイの香りを嗅ぎながらわんこと散歩に行くのが楽しい毎日です。
最近こんな質問をいただきました。
「カリカリでドライフードを食べたほうが歯石がつきにくいんですか?」
んん??と思って調べてみると、「カリカリで食べたほうが歯垢(しこう)が取れるからカリカリで食べましょう」といっているサイトがたくさんでてきました。
本当にそうなのでしょうか?
今回は歯石についてお話します。
歯垢(しこう)=食べかすではない
歯石の原因といわれる「歯垢(しこう)は」歯に付いているネバネバした黄色いものですね。
これ実は食べかすのことではないんです。
歯垢(しこう)は口の中に住む細菌の塊のことをいいます。
この細菌が食べかすを餌として口の中で増殖していくんですね。
歯石にはどうやってなるの?
歯石とは歯垢(しこう)が硬くなったものです。
歯垢(しこう)が唾液中のミネラルと結合して、硬くなります。
歯についた歯垢(しこう)は、2~3日たつと硬い歯石になります。
1度歯石になってしまうと歯磨きだけで取り除くことができません。
カリカリで食べても食べかすは付きます
私たちがおせんべいを食べた後にさらにおせんべいを食べて、口の中に食べかすが残っていないということがあるでしょうか。
歯垢(しこう)は食べかすが付いていると増殖していきます。
歯垢(しこう)は口をゆすいだくらいではなかなか落ちません。
たとえ歯とカリカリフードの摩擦で多少歯垢(しこう)は取れたとしても、フードを食べるのでまた食べかすが付きますね。
食べかすがある以上歯垢(しこう)は増えますので、カリカリで食べても食べなくても、歯垢(しこう)そのものを取り除かないと歯石になってしまいます。
歯周病の原因は歯石ではなく歯垢(しこう)!?
「歯周病」は歯肉炎(しにくえん)や歯周炎(ししゅうえん)・歯槽膿漏(しそうのうろう)などの総称です。
歯周病は歯肉(しにく)に炎症が起こることから始まります。
そのまま放置すると、歯周炎に進行します。
最終的には、歯肉が歯を支えきれず歯が抜けたり、歯肉の間から菌が入り込み、
あごの骨に炎症を起こしたりします。
お腹が空いているのに痛みでごはんが食べれないという可愛そうな状況になってしまいます。
この歯周病を引き起こす原因の多くは「歯垢(しこう)」です。
歯垢(しこう)の中には、歯周病をひき起こす細菌が潜んでいます。
じゃあ歯石ってとらなくていいの?
歯周病を引き起こす原因は歯垢(しこう)の方が多いというだけで、歯石が原因で歯周病に絶対ならないわけではありません。
また、歯石の表面はざらついているため、食べかすや歯垢(しこう)が付着しやすい環境になります。
歯周病予防のためには、歯石もないほうがいいですね。
大切なのは毎日の歯磨き
歯周病を予防するためには、歯石にさせないことも大事ですが、まずは歯垢を取り除くこと、つまり歯磨きをすることです。
カリカリであげたほうが歯石がつきにくいかを気にするよりも、歯磨きで毎日歯垢(しこう)を落としてあげるということのほうが歯周病の予防には大切だと思います。
とはいえ、
「なかなかうまく歯磨きできません」
「うちの子歯磨き嫌がるんです」
という相談もよく頂きます。
次回は「わかりやすい歯磨き方法」についてお話します。