糖尿病患者を増やすシロップ?(糖に注意3)


WHO(世界保健機関)の調査によると
2014年の世界中の糖尿病患者は4億2,200万人に達し、
11人に1人が糖尿だと言われています。
2025年には、有病者数は7億人にまで増加すると予測されています。

また、糖尿病の誘因にもなる肥満人口は、男性で11%、女性で15%になるといいます。

砂糖入り飲料の消費が多いメキシコやアメリカでは、
それが原因となった死亡者数が増加しているという因果関係が明らかになり、
2型糖尿病の原因となっているのは、
主に清涼飲料からの糖質の過剰摂取であるという認識が定着してきています。
soda

彼らが好んで飲んでいる砂糖入り飲料の「甘味料」には
実は”砂糖”そのものが使われているわけではありません。

「彼ら」だけではなく、「私たち」が手軽に購入する飲み物や食べ物にも
やはり砂糖とは違う甘味料が隠れ潜んでいます。

普通、家庭で料理をするとき、甘味をつけるのには白砂糖や甜菜糖、黒砂糖などが使いますね。

ですが、ペットボトル飲料や缶コーヒー、アイスクリームやスナック菓子などには
「高果糖コーンシロップ(異性化糖)」という甘味料が使われます。
can_coffee
これは、トウモロコシを原料に作られた甘味料で
トウモロコシが原料なら天然なんじゃないの?と思いがちですが
トウモロコシのデンプンを酵素処理して作られた工業製品です。

食品のラベルには「果糖ブドウ糖液」(果糖の割合が50~90%)とか
「ブドウ糖果糖液糖」(果糖の割合が50%未満)などと表示されます。

icecream

試しに、ペットボトルの飲料や缶コーヒー、アイスクリーム、ヨーグルト、
スナック菓子、パンやシリアル、ケチャップやジャムなどを買ったときに
後ろのラベルをじっくり見てみて下さい。

おそらく高確率で「果糖ブドウ糖液」「ブドウ糖果糖液糖」にお目にかかれるはずです。

果糖とはどんなものかというと、見て字のごとく「果物」に多く含まれている糖質です。

糖質には、単糖類と二糖類という種類があり
家庭で料理に使う砂糖や麦芽糖などは二糖類で、
果糖やブドウ糖は単糖類に分類されます。

単糖類の果糖ブドウ糖ですが、まず吸収経路が違います。

果糖は主に肝臓で代謝され、エネルギー不足でなければそのまま中性脂肪として貯えられます。

ブドウ糖は小腸から吸収され、血中に入り全身に運ばれ
エネルギーとして利用され、余った分が中性脂肪となり貯蔵されます。

このように吸収経路にも違いがありますが、摂取した後の満腹感にも大きな差があります。

米(ご飯)や芋類に多く含まれるブドウ糖は、
インスリン量や血糖値を増加させ、
食欲を刺戟するグレリンというホルモンの分泌を抑制します。
それにより満腹感が感じられ食欲が押さえられる訳です。

一方、果糖を摂取した時には血糖値は上昇せず、グレリンの抑制もできません。
そのため、満腹感が得られず、さらに食べ物が欲しくなるってしまうのです。

そして、果糖には、果物や野菜に含まれる自然な果糖と
清涼飲料や加工食品に含まれる精製された果糖の2種類があり
精製された果糖の多くは「高果糖コーンシロップ」として摂取しています。

フルーツ由来の果糖は、
果物が含む食物繊維が作用して緩やかに吸収されていきます。
また、果物のビタミンなどを一緒に摂取できるというメリットもあります。

しかし、清涼飲料や加工食品に使われる
精製されて高濃度の果糖=「高果糖コーンシロップ」は
一気に大量の果糖を摂取してしまうことになります。
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たくさん飲んだり食べて、たくさん糖質を摂取しているのに
満腹感が無いので、さらに飲んだり食べたりしたくなるという悪循環が起こります。

さらに悪いことに、「高果糖コーンシロップ」には依存性があるそうで、
ボトル入り飲料や缶コーヒーが習慣化してやめられなくなっていきます。

高果糖コーンシロップが甘味料として使われている飲み物をたくさん飲む⇨
果糖が中性脂肪として蓄積⇨
果糖では満腹感が得られず、さらに次の飲み物を飲む⇨
さらに中性脂肪が増え、肝臓の代謝機能にもダメージが⇨
肥満や糖尿病へと発展⇨
コーンシロップ入りの飲料は依存性があって止められない⇨
糖尿病悪化

こんなマイナスの連鎖を引き起こす前に
飲み物や加工食品に「果糖ブドウ糖液」や「ブドウ糖果糖液糖」が使われていないか
きちんと確認する。
入っていたら極力飲まない・食べない、他の食品に切り替えるなどの工夫をしましょう。

甘い飲み物でなく、水やお茶にするだけで、
「高果糖コーンシロップ」の摂取量はぐ〜〜〜んと減らせます。
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では、犬や猫に砂糖は必要でしょうか?

野生の時に糖分摂取をしてきたわけではありませんし
糖分摂取には人間同様の影響があると考えるのが妥当かと思いますので、
私はあえて食べさせる必要は無いと思います。

しかし、人間の加工食品にこれほどまで多く使われているコーンシロップが
ペットフードに添加されてい無いかどうかは不透明としか言いようがありません。

例えば、ジャーキーなどにもコーンシロップが含有されているかもしれません。
成分表示を見ると、「ソルビトール」という人口甘味料(保存料としての効果で添付かも)
が多く見られるように思います。
(カロリーゼロのコーラの方が肥満になる?という人口甘味料に関しては別の機会に記事を書きたいと思います)

ペットフード安全法では全成分表示が義務付けられていますが
少量しか含まないものは排除されたりする場合も考えられます。

ヤラーのような、オーガニック認証があれば
認証機関が厳しくチェックを入れますが、
そうでないものは第三者の監視はありません。

そんな意味でも「認証」は大事だと思います。

(糖に注意)シリーズ
次回以降、「砂糖税導入のイギリス」
「糖質の過剰摂取が老化を招く」訳をご説明したいと思います。


  • 現在、カリフォルニア州サンタモニカで娘と二人暮し中。アニマルシェルターレポートや、アメリカのオーガニックの現状、ペットフード・ペット事情などを発信しています。電子書籍「本当は怖いペットフードの真実』がRCFパブシッシングから出版されました。 メディカルハーブ協会認定/ハーバルセラピスト、日本成人病予防協会認定/健康管理士一般指導員、ペットロングライフカウンセラー。 趣味は書道と植物のスケッチ、手作り化粧品やハーブのチンキ作り、ヨガと瞑想。