要注意の危険な植物 for dogs and cats


前回と前々回の2回にわたって、ペットの誤食について、
キシリトールが犬にとって脅威になることと、
犬猫の誤食事故を引き起こす原因物質は何かというデータを見てきました。

今回は、犬や猫が食べてしまったら危険な植物について書いてみようと思います。

基本的には、人間に害を及ぼす毒性のある植物はペットにも有害となるでしょう。
日本には200種類以上の毒性植物が存在するとも言われています。
ですが、今回は200種類を書き連ねはしませんよ。

植物の中でも、特に犬や猫に影響を及ぼすというデータがあるものを拾っていきたいと思います。

最初に挙げたユリ科の植物は、たとえ葉っぱ一枚でもあっても
特に猫に対して重篤な影響を与えます。
下記↓のデータも参考にして、猫ちゃんの飼い主さんはユリ科の植物には十分注意してくださいね!

ASPCA・アニマル・ポイズン・コントロール・センター
獣医師ペトラ・ヴォルマーによる報告[猫におけるユリ科植物の毒性]
猫がユリ科の植物を摂取した2時間以内に、嘔吐、食欲不振、意欲減退などの症状が現れ、
この症状はおおよそ12時間以内には軽減するでしょう。
摂取後24時間から72時間かけて、血中尿素窒素・クレアチン・カリウム・リンの濃度が上昇することにより食欲不振、意欲減退は継続します。
by Petra A. Volmer, DVM, MS, Dipl. ABVT, Dipl. ABT, ASPCA Animal Poison Control Center
データ参照元:Veterinary Medicine

⚫️ユリ科植物は岡山理科大学のページで画像と一緒に見ることができます

アメリカ動物虐待防止協会アニマル・ポイズン・コントロール・センターに寄せられた誤食事故報告をもとに
ペットが誤って食べると危険な植物のリストをご紹介します。
Asiatic Lilies(Lilium sp.) テッポウユリ、タカサゴユリなど
ユリ科ユリ属の植物

葉が茎から放射状に広がり、大きなトランペット状の花を付ける。黄色・白・オレンジ・ピンク・赤など多くの色の花がある。全草に毒素を持つが、特に花粉にさらされると急性腎障害を引き起こす。
猫はユリ科の植物で腎不全に至ることがある。
lilies-asiayic
Daylilies(Hemerocallis sp.)ヤブカンゾウ、ニッコウキスゲなど
ユリ科ワスレグザ属の植物

ユリ属の花と似通った花を咲かせるが、葉は草状をしている。ユリ科ユリ属の植物と同様、全草に毒素を持つが、特に花粉にさらされると急性腎障害を引き起こす。
猫のみ影響を受け腎不全を起こす。
lilies-daylilies
Peace Lilies(Spathipyllum) スパティフィラム
サトイモ科スパティフィラム属の植物

鮮やかな緑色の艶のある葉を持つ。主に白い独特な花を付ける。花色は黄色もしくは緑色のものもある。不溶性のシュウ酸カルシウム結晶を含み、動物が噛むと即座に炎症を起こす。口腔の炎症、唾液過多、嘔吐、下痢などの症状がみられる。口腔、咽頭、舌の腫れを引き起こす。
lilies-peace lilies spathiphyllum
Lily of the valley(Convallaria sp.) スズラン
スズランは群生するため一見沢山の葉が付いているように見えるが、一株につき2枚の光沢のある葉を持つ。春先に細い茎の先にボール状で白かピンク色の花を付ける。全草が有毒で、嘔吐、不整脈、徐脈、高カリウム血症を起こし死亡する可能性も。
lilies-lily of the valley
Tulip/Narcissus Bulbs チューリップスイセンの球根
チューリップもユリ科の植物だが、ここでは球根に毒性があるということでスイセンと一緒にリストアップした。含有する毒素により、中枢神経系の機能低下、激しい胃腸の炎症、涎、食欲減退、痙攣、心臓異常を引き起こす。
tulip01
Azalea/Rhododendron シャクナゲ/アザレア
ツツジ科ツツジ属の植物
グラヤノトキシン(Grayanotoxin)と呼ばれる有毒物質を含み、動物が摂取すると、嘔吐、涎、下痢、中枢神経系の衰弱及び機能低下を起こす。アザレアの強力な毒素は、心臓血管を破壊し最終的に昏睡と死を招く。
azalea
Oleander オレアンダー/セイヨウキョウチクトウ
キョウチクトウ科キョウチクトウ属の植物

キョウチクトウの乳液は有毒で、強心配糖体を含み、それにより深刻な消化管の炎症や心臓機能異常、低体温を起こし死に至ることもある。
oleander
Castor Bean トウゴマの実(Ricinus communis)
トウダイグサ科トウゴマ属の植物

トウゴマの有毒成分はリチンと呼ばれる有毒タンパク質で、激しい腹痛、涎、嘔吐、下痢、激しい喉の渇き、衰弱、食欲減退などを引き起こす。
特に重篤なケースでは、脱水、筋肉の痙攣、震え、昏睡及び死に至る可能性も。
caster bean
Cyclamen シクラメン
サクラソウ科シクラメン属の植物

様々な花色があり、冬場に出回る人気の高い鉢植植物。シクラミンという有毒物質を含む。シクラミンは特に根に集中してみられる。嘔吐を含む胃腸の甚だしい炎症を引き起こし、死亡例も報告されている。
CyclamenPink
Yew(Taxus spp)イチイ
イチイ科イチイ属の植物

タキシンという名で知られる有毒成分は、中枢神経系に影響を与え、震えや呼吸困難、運動神経障害を引き起こす。また激しい胃腸の炎症や心不全など、死亡例に結びつく症例が引き起こされることもある。
yew
Amaryllis アマリリス
ヒガンバナ科ヒガンバナ属の植物

人気のあるガーデン植物。日本に自生のヒガンバナ科の植物は、ヒガンバナやキツネノカミソリなどだが、昨今は園芸種の大型の花をつける品種も出回ってきている。含まれる毒素は嘔吐や無気力、下痢、唾液過多、神経性食欲不振、震えなどを引き起こす。
amaryllis
Autumn Crocus イヌサフラン
かつてはユリ科に分類されていたが、現在はイヌサフラン科に分類されている。
含有の有毒成分コルヒチンにより口腔の炎症、吐血、下痢、多臓器障害を引き起こす。
autumn crocus
Chrysanthemum 菊キク科キク属の植物
⇨wikiキク属

切り花としても庭に植える植物としてもとても馴染み深い花である。キク科の植物は、ピレスリンを含む。万一ペットが摂取した場合、涎や嘔吐、下痢などの胃腸障害を引き起こす。植物のどの部分でも、過度に摂取した場合は、衰弱や運動障害なども起こりうる。
mum
Kalanchoe カランコエ
ベンケイ草科の植物

ペットが摂取すると、胃腸の炎症や障害、心臓及び心拍数や脈拍への重大な影響を及ぼします。
kalanchoe
Sago Palm(Cycas Revoluta) ソテツ
ソテツ科ソテツ属の植物

特に種子に有毒成分のサイカシンを多量に含む。1粒か2粒の種子を摂取しただけで、嘔吐、下痢、無気力、卒中、肝不全などの重篤な症状を引き起こす。
sago palm
English Ivy(Hedera helix) セイヨウキヅタ
ウコギ科キヅタ属の植物

園芸用植物として広く利用されているが、キヅタ属の植物はサポニンを含み、ペットが摂取すると嘔吐、腹痛、唾液過多、下痢などを引き起こす。
ivy
Schefflera(Schefflera and Brassaia actinophylla)
ウコギ科シェフレア属/ブラッサイア属の植物

カポックと言う名前で広く親しまれている人気のある観葉植物。広く普及しているがペットには要注意の植物。シュウ酸カルシウム結晶を含み、ペットが摂取した場合、口腔の炎症、唾液過多、嚥下困難、唇や舌の激しい痛みと炎症を引き起こす。
Schefflera_Actinaphylla
Pothos ポトス
サトイモ科の植物

少ない光量でも生育する丈夫な葉を持つため、人気の観葉植物。ペットが噛んだり飲みこんだりすると、口腔の著しい腫れや、消化管の重篤な炎症を引き起こす。
potosu2
Marijuana カンナビス 大麻
コンパニオンアニマルが摂取すると、中枢神経系の機能低下、運動神経障害、嘔吐、下痢、涎、心拍数増加、昏睡などを引き起こす。日本では合法化されていない植物なのでお目にかかることはないかもしれませんが、アメリカのポインズンコントロールセンターのリストにあったので念のため。
cannabis

上記の表には、アメリカのアニマルポインズンコントロールセンターに
症例報告例のあるものをリストアップしました。

庭の園芸植物や室内の観葉植物など、人の目を楽しませてくれる植物ですが、
ペットには危険なものがたくさんありますね。

重篤な事故が起きないよう十分に気をつけて選んで下さい。


  • ルシアン代表・すばる動物病院院長。栃木県生まれ。酪農学園大学獣医学部卒、獣医皮膚科学会所属獣医師。薬の長期連続投与より、ナチュラルケや予防医学に力を入れたいという思いから、メディカルハーブ協会・ハーバルセラピスト資格も取得。飼い主さんの良きアドバイザーになれるよう日々勉強中。趣味はスキーとテニス、時々ゴルフ。