抗生物質の使用量を3分の2に-厚生労働省が発表


こんにちは。獣医師の小林です。

以前のブログの記事でもお伝えしましたように、
薬剤耐性菌の問題は世界的に拡大しています。

この問題を放置すれば、2050年には耐性菌による死亡者数が、
がんによる死病者数を抜いて、年間1千万人を超えるのではないかという予測もあるほどです。

上記のブログ記事でご紹介したこちらの世界地図にも
2050年の耐性菌による死者の予想数が書かれていましたね。
antibiotics-death

昨年(2015年)のG7(先進7カ国首脳会議)では、
初めて薬剤耐性菌対策についての議題が取り上げられ、
対策強化の必要性を世界に訴えることで合意しています。

G7の声明には、先進7カ国が協議して新薬の開発を進めることや、
このブログでも取り上げた「家畜への抗生物質の不適切な使用」を減らすことなどが盛り込まれています。

またWHO(世界保健機関)も、薬剤耐性菌に対する行動計画の策定を
各国に求めています。

このような世界情勢を背景に
厚生労働省は、4月1日に薬剤耐性菌に対する行動計画を発表しました。

目標は、2020年までに抗菌薬の使用を現在の3分の2に減らすというものです。

また5月に開催される伊勢志摩サミットでも、
日本は議長国としてリーダーシプを発揮して議論したいとしています。

このまま人々の意識が変わらず、抗生物質の乱用を続けていけば、
死亡原因の第1位が耐性菌によるもの、という最悪のシナリオも現実になる可能性があります。

しかし、人類はそういう危機に際してもうまく対処してきました。

こちらの動画を御覧ください。
薬剤耐性菌がどうやって生まれるか、
中国の畜産現場でのコリスチンの使用の問題なども
わかりやすく語られています。

きっと耐性菌だって、怖くないものにできると信じて。


  • ルシアン代表・すばる動物病院院長。栃木県生まれ。酪農学園大学獣医学部卒、獣医皮膚科学会所属獣医師。薬の長期連続投与より、ナチュラルケや予防医学に力を入れたいという思いから、メディカルハーブ協会・ハーバルセラピスト資格も取得。飼い主さんの良きアドバイザーになれるよう日々勉強中。趣味はスキーとテニス、時々ゴルフ。