ペット同行避難を考える


こんにちは。獣医師の小林です。

地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

断層の上にある日本列島ですから、いつどこで地震が起きるか分かりません。
ペットと一緒に生活する私たちは、災害時のペット同行避難について
事前にある程度備えておく必要があると痛感しています。

急に襲った地震の中で、ご自身の身の安全を確保しつつ、
ペットを同伴しての避難は並大抵のことではありませんから。

こういった緊急時には、室内で飼っているわんちゃん・ねこちゃんであっても、
驚いて逃げ出してしまい、はぐれてしまうという事態が過去にも多く発生しています。

今回の熊本では、地震発生後19日までの間に
熊本市に寄せられた犬を探す飼い主さんからの問い合わせが
70件以上にのぼっているそうです。

もしも災害時にペットとはぐれてしまった時は、
まず第一に、自治体の動物愛護センターや保健所、あるいは警察署などの
公的機関へ届け出をして下さい。
逆に、ペットを保護した場合も同様に届け出て下さいね。

フェイスブックやツイッターなどのSNSで情報を求める場合は、
ただ単に「うちの子がいなくなちゃった〜」と言うのではなく、
ペットの写真やはぐれた場所などの詳細な情報と一緒に呼びかけるのが効果的です。

こういう事態が発生した時には、マイクロチップが入っていると助けになります。
先日、イギリスでマイクロチップの埋め込みが義務化された記事を書きましたが
今後、日本でも必要性の議論や、義務化への動きなどが起きてくると思われます。

さて、無事ペットと一緒に避難できたとしても、
今度は避難所で周囲への気遣いが生じてきます。

「鳴き声がうるさい」「臭いがする」「噛まれた」
などが原因で過去にもトラブルが起きています。

また、気兼ねして避難所に入れずに車中泊を続けることで、
ペットが熱中症になったり、
飼い主さんがエコノミークラス症候群になってしまう心配もあります。

このように、ペット同伴の避難は苦労がつきまといます。
世の中全てが犬好き、猫好きとは限りませんから致し方ありません。

こういう時こそ、動物好き同士が連携し、一緒にグループを作って
ペットに必要な支援物資などの情報を共有することが求められるようです。
petclinic
尚、今回熊本市の「竜之介動物病院」では、
ピーク時には200人以上のペット同伴の飼い主さんの受け入れをしていたそうです。

また、NPO法人「ピースウインズジャパン」では、
熊本県益城町の総合体育館の芝生広場に
ペット連れの避難誠意用の大型テントを開設しているそうです。

ペットと一緒にどこへ行ったら良いか分からない、
一般の避難所には気兼ねがあって入れないなど
ペット同伴者の悩みに応えてくれたありがたい対応ですね。
(※4月23日現在、竜之介動物病院の受け入れは終了しているのではないかと思われます。)

災害はいつ襲って来るか分かりませんから、ペットを連れて避難をするには
日頃の備えが重要になってきますね。

dog_pet_water

備えておくと良い災害時持ち出し品
■最低3日分程度のペットフードと飲み水、食器
■リード、首輪
■トイレシート、ウンチ袋
■手入れ用品、常備薬
■毛布などの保温できるもの
■キャリーバッグ

また、避難所で他の人たちと一緒に過ごさなければいけない状況で
重要になってくるのは躾ができているかどうかです。

日頃からケージやキャリーバッグの中で大人しくできるように慣らしておくといいですね。

キャリーバッグにもなるペットSOSセットも便利です。

避難所のペットたちが、1日も早くいつもの生活に戻れますよう。
遠く離れた私たちは、熊本に心を馳せながら日常を続けます。

こんなステキなイラスト、ご紹介してみました。
sasaeai


  • ルシアン代表・すばる動物病院院長。栃木県生まれ。酪農学園大学獣医学部卒、獣医皮膚科学会所属獣医師。薬の長期連続投与より、ナチュラルケや予防医学に力を入れたいという思いから、メディカルハーブ協会・ハーバルセラピスト資格も取得。飼い主さんの良きアドバイザーになれるよう日々勉強中。趣味はスキーとテニス、時々ゴルフ。