今回は、前回の風邪の原因の9割がウイルスの話から
抗生物質の過度の使用が生んだ耐性菌についてお話しします。
2015年11月19日に
イギリスの医学雑誌「The Lancet Infectious Disease」に
新しいスーパー細菌が中国で発見されるという発表が掲載されました。
「New “Superbug” Gene Found in Animals and People in China」
[Scientists alarmed by potential spread of gene that makes bacteria highly resistant to last-resort antibiotics]
中国の養豚場で発見されたこのスーパー細菌は、
MCR-1という遺伝子を持ち、最強の抗生物質と言われる”コリスチン”も効かないため
記事には、「最後の砦の抗生物質に耐性を持つスーパー細菌遺伝子の拡大に科学者が警鐘を鳴らす!」という
副見出しが付けられました。
コリスチンは、主に動物用に使用される抗生物質です。
腎臓に害を与えることがあるとして、日本では1970年代に人には使われなくなりましたが、
最近注射製剤が再認可となり、既存の薬剤では期待できない感染症に対する最終救済薬として使われています。
世界有数の豚肉、鶏肉の生産国である中国では、家畜の飼育の際に
過度のコリスチン投与が行われていたため、
コリスチンに耐性を持つスーパー細菌の発生を招いたと考えられています。
そして、今回発見されたスーパー細菌は、他の細菌との間で
いとも簡単に、短時間に遺伝子の交換を行うことができるといいます。
すべての細菌が、このスーパー細菌と同じ遺伝子を持ったら?
上述の医学誌・Lancetへの報告書の共同研究者である、
カーディフ大学の教授ティモシー・ウォルシュ博士が、
BBCニュースのインタビューに答えてこのように言っています。
「抗生物質の使用を見直さないと、耐性菌は今後どんどん増えるだろう。
抗生物質で感染症を食い止めていた時代が終焉する。」
こちらは、2050年までに耐性菌が増えたために感染症で死亡する人の予想数を表示した地図です。
2050年に耐性菌が原因の死者が一千万人を超える?
これが現実となったら本当に恐ろしいことですが、可能性は否定できません。
家畜用抗生物質は、家畜を早く太らせるため、また不衛生な過密状況下で病気を防ぐために使われています。
人間への処方は、抗生物質が効かないウイルス性の風邪の際にも行われています。
過度の抗生物質の使用がもたらす甚大な影響は
細菌を抗生物質で殺せない世界、抗生物質を持たなかった時代への逆行を意味します。
抗生物質の無い未来は、単に指を切っただけでも命取りとなるかもしれません。
抗生物質に大いに依存する外科手術の分野では大問題です。
女性にとって、再び出産が命がけの大事業となってくるでしょう。
獣医学においても、殺処分ゼロの推進においても大きな痛手となってきます。
避妊・去勢術が命をかける大手術となりうるからです。
今回のスーパー細菌(Superbug)発見の報告を
医学界も獣医学界も重く受け留めて
抗生物質の使用を見直さ無いといけないと痛感しています。
抗生物質と耐性菌ー
次回は「抗生物質が人も動物も太らせる?」について考えてみます。
抗生物質の使用を減らす========= 豆 知 識 =========
抗生物質の代わりにアクアリブを使う
⚫️ペット編
わんちゃん、ねこちゃんも風邪を引きます。
犬の場合はケンネルコフと総称され、猫はアデノウイルスなどの感染で症状が出ます。
犬や猫の場合もウイルスが原因として引き起こされる症状が多く、
抗生物質の投与は効果がない場合が多いと言えます。
万一ペットが感染してしまった場合は、喉に直接アクアリブをスプレーしてみましょう。
猫ちゃんの場合は、一人では難しいかもしれませんので、二人組みになってやると良いでしょう。
グッと大きく口を開けて、サッとスプレー。
長引かせずに一瞬で済ませてしまうのがコツです。
ペットの口腔にスプレーのノズルが接触した場合は、コットンなどに含ませたアクアリブで拭き取っておくのを忘れずに。
一日数回スプレーしてあげると良いですよ。
⚫️飼い主さん編
犬や猫と違って、うがいや手洗いができる飼い主さんは
帰宅したらすぐに、10倍希釈のアクアリブでうがいをして
石鹸で手を洗った後に、アクアリブを手指にスプレーしてください。
コバルトボトルを持ち歩いて、出先では喉に直接スプレーしてしまうのも良いですね。
家族の誰かが感染してしまった時、他の人にうつらないようにするために・・・
受験生や高齢者がいて、外からのウイルスをシャットアウトしたいとき・・・
こんな場合は噴霧器によるお部屋丸ごとの空間除菌がオススメです。
※アクアリブは細菌だけでなく、ウイルスや真菌に対しても効果が確認されています
※アクアリブは耐性菌を発現しにくい除菌ができます