いざという時に慌てない 災害時チェックリスト


今日は。獣医師の小林です。

今月のルシアン通信は、「災害時に備蓄しておく品物チェックリスト」になっています。
保存版として各ご家庭でお役立ていただければと思います。

いつどんな時に起こるか分からない災害。
困難がつきもののペット同行避難の対応策は、
物的備蓄➕心構えが大切です。

いざという時に慌てずに、自分の小さな家族を守れるような対策を練っておきましょう。

今回はルシアン通信では誌面の都合で簡略して書かれている
備蓄品チェックリストの詳しい説明をしていきたいと思います。

ペットを守る備蓄品チェックリスト

    食べ物関係⇨水・フード・食器・ラップ

災害時にペット同伴避難は原則とされてはいますが、いまだ人間優先意識が高く、熊本では「人が飲む水も不足しているのに犬に飲ませるのか」といった発言があったとも報道されています。
救援物資が届くまでどのくらいかかるかはケースバイケース。自己責任で初期の混乱を乗り切れるよう、最低でも一週間程度のペットの食料は確保しておきたいものです。断水して水の確保に不自由する場面を想定すると、ウエットフードを準備しておくのが理想的です。
ヤラーのアルミトレー(Dog/Cat)なら、食器を使わずにそのまま与えられるので便利です。
また食器にラップをかぶせて使うと洗わずに済んで水の節約になります。
備蓄したフードは賞味期限をチェックしながら、普段の食事のローテーションに組み込んで、新しい物と入れ替えていきましょう。

    居住環境⇨ケージやクレート、キャリーバッグなど

ケージやクレートの中でおとなしくしていられる訓練をしておくと良いですね。避難先での生活はペットにとってもストレスの多いものとなります。ケージの中は快適な空間という意識付けができていることがペットをストレスから救います。
キャリーバッグに防災備蓄品が収まった便利なペットSOSセットなども市販されているので利用するのも良いでしょう。

    安全確保⇨リードやハーネス、首輪、迷子札、洗濯ネット

リードは普段使っている物の他に、もう1セット準備しておくといいです。できればハーネスタイプを用意すると尚良いでしょう。猫の移動には洗濯ネットが活躍します。猫を傷つけずに運ぶことができるので、飼い猫が入るサイズの物を準備しておくと助かると思います。
飼い主の連絡先を書いたメモなどの情報を迷子札かカプセルに入れておきます。

    トイレタリーグッズ⇨トイレシート、猫砂及び容器、新聞紙、ウンチ袋

避難所で問題になるのが臭いや衛生状況です。ペットを飼っていない人との間で問題が起きやすいポイントなので、トイレトレーニングを含め十分に注意したいですね。
慣れない避難生活で免疫力が落ちると、感染症にかかりやすくなるので、アクアリブも一緒に持っていくと便利です。水が使えない時の飼い主さんの手指消毒、ペットの足裏や体の除菌・消臭、糞尿の除菌・消臭などが安心安全にできます。糞尿が臭う、衛生状態が良くないなどで苦情が発生します。問題点は先手を打って対処しておくとトラブル回避ができますね。

    防寒・快適グッズ⇨毛布やバスタオル、おもちゃ

日中と夜の気温差は、普段と違う場所で生活する場合に体に答えます。また、動物もストレスを感じていますので、気に入ったおもちゃなどを一緒に持っていくと良いでしょう。使い慣れたバスタオルがあると重宝します。大きめのものならケージやクレートの上に掛けて使うこともできますね。

    医療・お手入れ用品⇨常備薬、ファーストエイドグッズ、お手入れグッズ

いつも飲んでいるお薬があれば備えておきましょう。防水ポーチかジップ付きビニール袋などに入れておきます。また怪我をした時に応急処置ができる物があると、ペットも飼い主さんも安心ですね。毎日のお手入れで使っているグッズがあれば避難用に備えておきたいですね。

    インフォメーション⇨ペットと一緒に写った写真、投薬やワクチン接種履歴、電話番号

はぐれてしまった時にオーナーである事の証明にもなります。また情報を求める際にも活用できますね。スマホなどに保存している画像などが取り出せるよう、充電器などを忘れないようにしましょう。
かかりつけの動物病院や自治体の動物愛護センターや保健所など、緊急時に連絡を取る可能性がありそうな施設の電話番号を控えておきましょう。愛犬、愛猫が迷子になった時は、まず最初に動物愛護センターや保健所に連絡します。番号はスマホに入っているから大丈夫、と思わずにメモを取っておくと万一電子機器が使えない場合に慌てずに済みます。
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上記の備蓄品が揃ったら、置き場所を家族に周知しましょう。

そして、それぞれの役割、在宅でなかった場合の集合場所などを決めておきます。

アメリカでは、家の前に「我が家には犬や猫がいます。もしもの時は救出をお願いします」という
ステッカーを貼っておくのが推奨されています。

物的備蓄ができました。

次は心構えです。

自分の身の安全を確保しながら、さらにペットを同行しての避難となれば
どれだけ困難なこととなるか、想像はつきますね。

多頭飼いの場合は尚更です。

避難所にいるのは、全員がペットラバーなわけではありません。
うるさい!臭い!怖い!など、苦情を言われる可能性だってあります。

そもそも、ペットを連れて避難所には入りにくいという声も聞きます。
しかし、車中泊を続けて、ペットが熱中症になったり
飼い主さんがエコノミー症候群になったりする事例も報告されています。

どこに避難す、れば良いか、どこでペットようの支援物資が手に入るかなどの
情報収集が、ペットと自分の身を守るためにはとても重要になってきます。

熊本の地震では、前回のブログで取り上げたように
動物病院がペット同行避難を受け入れてくれたりしていました。

また、ピースウイングジャパンでは、ペットと飼い主さんが一緒に入れる
テントの設営をして同行避難の支援をしています。

    どんな心構えが必要?

  • ●ハウスに入って過ごすしつけをしておく
  • ●トイレトレーニングをしておく
  • ●ほかの動物や人を怖がらないような社会化を心がける
  • ●近所の犬や猫のオーナーさんたちと仲よくなっておく
  • ●飼い主さん同士で助け合ったり、協力して情報収集をする
  • ●マイクロチップの埋め込みも視野に入れておく
  • ●緊急時にパニックにならないよう行動計画を立てておく
  • ●備蓄品は3ヶ月ごとにチェックして、新しい物と入れ替える

こんなことを日頃から考えておくと、
いざという時にスムーズにペットと一緒の避難ができるはずです。

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image: ASPCA


  • ルシアン代表・すばる動物病院院長。栃木県生まれ。酪農学園大学獣医学部卒、獣医皮膚科学会所属獣医師。薬の長期連続投与より、ナチュラルケや予防医学に力を入れたいという思いから、メディカルハーブ協会・ハーバルセラピスト資格も取得。飼い主さんの良きアドバイザーになれるよう日々勉強中。趣味はスキーとテニス、時々ゴルフ。