フィラリア予防はいつからいつまで?
フィラリア症は蚊を媒介して感染する病気です。
[どんな病気なのかはこちらの記事を→獣医師小林のフィラリア症のシンプル解説]
蚊を介して感染するので、蚊がいる間が問題です。
一般的な目安として、予防薬の投与は「蚊の発生後1ヶ月〜終息後1ヶ月」と言われています。
最近は、暖房設備の普及や、冬でもお湯が流れる下水道管が暖かいため、蚊の生息期間は長くなる傾向にあると言われます。温暖化の影響もあるかもしれませんね。
関東地方では、例年の気候状況から、概ね5月から12月の8ヶ月間の投与をお勧めしています。
すばる動物病院では、7回分のお値段で8ヶ月の予防薬をお求めいただける、お得な「フィラリア症予防薬8回セット」をご用意しております。
フィラリア予防薬は、フィラリア症に対応するお薬と、フィラリア症と一緒に、ノミ・マダニ駆除+腸内寄生虫駆除ができる[パノラミス]の2種類のお薬があります。
室内で飼っているから感染しないよね?
「ウチは、部屋の中で完全室内飼いをしているから、フィラリア症にはならないはずです。」とおっしゃる飼い主さんがいます。
フィラリア症は、蚊を媒介して感染する病気だと言いました。
なので、蚊に刺されなければ感染はしないはずです。
でも、残念ながら蚊は容易に室内にまで侵入し、多分どちらのお宅も、お部屋の中の蚊を100%シャットアウトするのは不可能だと思われます。
わんちゃんを外にお散歩に連れて行くこともありますね。
外で飼っていないから大丈夫というのは、フィラリア症には当てはまりません。
感染したって死なないでしょ?
フィラリア症にかかっても、すぐに症状が出るわけではありません。
症状が出るまでの期間やその症状は、個体差があって、犬の体格や健康状態によって千差万別です。
寄生しているフィラリアの数が少ない場合は、一般的には無症状であることが多いとされています。
しかし、劇的な症状がでないからフィラリア症にかかっても死なないと思うのは間違いです。
フィラリア成虫が、心臓や肺動脈に入り込んで血流が悪化して様々な障害がでてきます。
それを放置したままにすると、手術でも取り除くことができず、手の施しようがなくなってしまいます。
適切な処置を怠れば最終的には死に至る病気です。
手術で心臓から取り除いたフィラリア成虫です
フィラリア予防薬飲ませる前に検査するのは何故?
万一フィラリア症に感染していたとしても、初期には無症状で感染に気づきにくいことがあります。
症状がないから感染していないと勝手に判断し、予防薬を投与してしまうと、予防薬によりアレルギー反応やショック症状を起こす危険性があります。
寄生しているフィラリア成虫に気づかずに予防薬を投与して愛犬を命の危険に晒すより、しっかり検査してから投与する目的で、予防薬投与前の血液検査が行われます。
前のシーズン中に、投薬を忘れてしまったことがある、しばらく投薬はせずに過ごしてしまった、といったわんちゃんは特に血液検査を受けてからの投薬をお勧めします。
感染した犬に噛まれたらフィラリアがうつる?
狂犬病は感染した動物に噛まれると感染しますが、フィラリア症は蚊が媒介するので、感染した犬に噛まれたことでうつることはありません。
他の犬に噛まれた時は、フィラリアの心配ではなく、他の病気や噛まれた傷の心配が必要ですね。
ちなみに、フィラリア症は、犬だけがかかると思われていますが、稀に猫や、フェレットなどのげっ歯類がかかることもあります。
予防より治療する方が楽でしょ?
毎月お薬を飲ませるなんて面倒だから、感染したら対処する方が楽と思われる方もいらっしゃるようです。
確かに、定期的に投薬するのは面倒かもしれません。
しかし、もし感染してしまったら、それも症状が出て気づく頃には症状が進んでしまっている可能性の方が大きいです
手術や入院などが必要になったり、長期に渡る対症療法が必要になったりします。
つまり、犬の体にも負担がかかり、飼い主さんの金銭的な部分にも負担が大きいということになります。
フィラリアの治療に比べたら、予防の方が断然簡単なことなのです。