動物の誤食事故の原因となった危険物トップ10


こんにちは。獣医師の小林です。

前回、キシリトール入りガムに注意して!という記事を書きました。
チョコレートより犬にとっては毒性が強いので
何気なく部屋に置いておくというのはとても危ないですね。

さて、キシリトールガムだけでなく、家の中に潜む危険物。
こちらはASPCA(アメリカ動物虐待防止協会)の統計データです。
同協会のアニマル・ポイズン・コントロール・センターに寄せられた電話相談の中で
2014年に最も相談件数の多かった危険物のトップ10がランキングで発表されています。

1位:人間用処方薬
その中でも特に多かった3つは、心臓の薬(特に降圧剤など)、抗鬱剤、鎮痛剤です。

2位:人間用市販薬
この中には6,900種類以上の異なる製品が含まれます。
このカテゴリーの事故が増加した背景には、ハーブやその他のナチュラルサプリメントなどの流行があるものと思われます。

3位:殺虫剤
昨年まで2位にランクした殺虫剤が3位にランクを下げました。問い合わせ全体の9.1%を占めます。

4位:家庭用品
洗濯用品、接着剤、ペンキなど、動物が近づくことができておもちゃにしたくるようなモノ。全体の8.1%.

5位:人間の食べ物
犬はキシリトール、ブドウ、干しぶどう、玉ねぎやニンニクが大好きです。
あいにく、彼らは1キロのブドウをたいらげたら救急治療室に行く羽目になることを知りません。

6位:獣医薬(動物用医薬品)
主に、非ステロイド抗炎症剤、フィラリア予防薬、関節用サプリメントなど。問い合わせの7.3%。

7位:チョコレート
1日に平均26件の電話があります。
特にイースター、ハロウィーン、バレンタインデーやクリスマスは、センターと動物病院にチョコレート関連の電話が殺到します。

8位:植物
室内の観葉植物など。猫の問い合わせが犬を上回る項目です。⇨「要注意の危険な植物」の記事はこちら

9位:殺鼠剤
昨年から順位を一つ下げましたが、犬や猫が誤食する可能性のある危険な薬剤の一つです。

10位:芝・園芸用品
ペットの手の届かない所に保管されていない、散布した薬剤が乾く前に芝生や庭に立ち入ることができてしまうなどの問題があります。

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飼い主さんの医薬品を誤飲してしまうことが多いという結果になっています。

特に犬や猫にとって危険な人間用の市販薬の成分は
NSAID(非ステロイド系抗炎症剤)のイブプロフェンやナプロキセンなどです。
風邪を引いた時にお世話になったことがあると思います。
犬猫には少量でもとても危険です。

同じく、一般的な鎮痛解熱剤の成分、アセトアミノフェンも注意が必要です。
アセトアミノフェンは特に猫に影響が強く出て、赤血球にダメージを与え酸素供給に支障をきたし、
効き目の強い薬剤だとたった1錠でも致命傷となることがあります。

5位にランクインした「人間の食べ物」のカテゴリーの中に、前回の記事で書いたキシリトールガムが入っているはずです。
chocolate
チョコレートも人間の食べ物のうちの一つですが、単独カテゴリーとして立てられるほど件数が多いということでしょう。

ペットは、思いの外手先が器用だったり、
興味を持ったものを手に入れるために執念を燃やしてしまうことも多々あります。

開けられるはずないと思う扉を開けてしまう猫ちゃんの動画を見たことがありませんか?

人間の不注意からペットが危険な目に遭わないよう
日頃から十分に注意をしていくことが大切ですね。

危険な”人間用の食べ物”と”植物”の詳細を、次回からのブログで引き続きご説明したいと思います。


  • ルシアン代表・すばる動物病院院長。栃木県生まれ。酪農学園大学獣医学部卒、獣医皮膚科学会所属獣医師。薬の長期連続投与より、ナチュラルケや予防医学に力を入れたいという思いから、メディカルハーブ協会・ハーバルセラピスト資格も取得。飼い主さんの良きアドバイザーになれるよう日々勉強中。趣味はスキーとテニス、時々ゴルフ。