中国産原料がペットの病気につながる?


前回の記事で、ペットフードの安全性に関する活動をされているSusanさんの記事
Antibiotic Resistant Gene a Concern for Pets and Peopleが、
小林先生の記事と同様の抗生物質の過剰使用への警告記事だったとご紹介しました。

Susanさんの違った観点からのツッコミが面白かったと書きましたが
ペットフード安全法をかいくぐって製造される『国産フード』が流通する日本で
面白かったー、では済まされない重要な内容なので、
もう一度検討してみたいと思います。

Susanさんの「抗生物質耐性菌遺伝子のペットや人への懸念」
Antibiotic Resistant Gene a Concern for Pets and People記事では、

彼女のこんな見解が紹介されています。

1. コリスチンは家畜及び獣医療現場で特に広範囲に使用されている抗生物質である→

2. 中国は世界一の養豚、養鶏大国で、大量のコリスチンを家畜に投与している→

3. コリスチンは腎臓及び尿路への副作用がある→

4. アメリカには中国産のペットのジャーキーが多く出回っている→

5. 中国産のジャーキーがペットの病気や死と関連しているのではないか

というものです。

Susanさんは、AAFCOの会議に出席されたり、
FDAにペットフードの安全性の確立を訴えたり、
ペットフードの安全に関する多くの活動をされています。

小さな家族であるペットに安全な食べ物を食べさせるべきだという立場にたっておられ
バイプロダクツや中国産の原料に対する注意喚起もされています。

中国産の原料は、アメリカだけでなく、日本でも多く使われています。

日本のペットフード安全法では、中国産の原料を使っていても
日本の工場で製造していれば『国産フード』と言っても問題ありません。

中国産原料なのに『国産』?って、なんだかスッキリしませんね。

実際にメーカーに電話をしてみたところ
「原料が中国産でも、日本で作られているものは、
ちゃ〜んと法律で”国産”と言って良いと認められているんですよ!(知らなかったの?合法なんですよね〜)」
という対応をされました。
実際、小麦やトウモロコシのほとんどを輸入に頼っている日本ですから、
(ペットフードになんでわざわざ数少ない国産の小麦や、国産のトウモロコシを使うんだ?!)
って、電話の対応相手は憤慨されていた様子でした。
たくさんのチキンやポークやビーフも中国から輸入されてきます。

ペットフード安全法では、原産国表示というのがあります。
完全な製品を日本に持ってきて詰め替えるだけでは適用されませんが、
ある程度加工されたものを日本で製品化したり
輸入原料を使って日本で製造すれば、原産国は「日本」になるのです。

大量の抗生物質のパウダーを混ぜた飼料が畜産現場では当たり前に使われています。
抗生物質をミックスすると、短時間で家畜を太らせることができるからです。
そして、不衛生な環境下でも病気になるのを防ぐ目的もあります。

中国は今や世界一の畜産大国となり、中国の養豚場や養鶏場では
抗生物質入りの飼料が今日も使われ続けていることでしょう。

抗生物質耐性菌の発現とともに、
危惧されるのは抗生物質が残留した肉を食べることのリスクです。

コリスチンは、腎臓や尿路への副作用が確認されています。
Susanさんが心配しているように、中国産の肉がペットの病気に結びついているとしたら?

コリスチンが残留しているかもしれない中国産原料が
飼い主さんが”安全性”を期待して買い求める『国産フード』に使われているのです。

健康リスクが心配される中国産原料を使って「国産フード」が作られている。
矛盾を感じ、裏切られた気持ちになるのは私だけでしょうか?

 


  • 現在、カリフォルニア州サンタモニカで娘と二人暮し中。アニマルシェルターレポートや、アメリカのオーガニックの現状、ペットフード・ペット事情などを発信しています。電子書籍「本当は怖いペットフードの真実』がRCFパブシッシングから出版されました。 メディカルハーブ協会認定/ハーバルセラピスト、日本成人病予防協会認定/健康管理士一般指導員、ペットロングライフカウンセラー。 趣味は書道と植物のスケッチ、手作り化粧品やハーブのチンキ作り、ヨガと瞑想。