こんにちは。ルシアンの動物看護師の金丸です。
今回のテーマは食物アレルギーと下痢の関係についてです。
かな~りややこしい分野なので、なるべく分かりやすく説明できるように頑張ります。
そもそも「食物アレルギー」とはなんでしょう??
食物アレルギーってなに?
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調べてみると「食べ物によって引き起こされる免疫機序を介して生体に不利益な症状が現れること」とあります。
免疫機序だの生体に不利益だの、ワケがわからないので噛み砕くと
体には悪いものが入ってくるとどうにかして退治しようとする働きがあります。
この働きを「免疫」といいます。
食べ物を食べたときにこの働きが起こると食物アレルギーですよ、ということです。
ですので、よく聞く牛乳を飲むと下痢になってしまうというのは、
食物アレルギーには含まれません。
「えぇー!!どうして違うの?」と思った方は「【第二回】寄生虫と下痢の関連性」をお読みください。
食物アレルギーの検査方法とは?
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どうやって自分に食物アレルギーがあるのか確かめるのでしょうか?
体に異物が侵入するとその刺激で免疫グロブリン(抗体)が作られます。
この免疫グロブリンの種類は5種類あり、それぞれ働く場所が違います。
5種類のうちの1種類【IgE抗体】が食物アレルギーと関係しているといわれています。
なので食物アレルギーの検査は血液を採って、どの食品にこのIgE抗体が作られているかを検査します。
小麦にじゃがいも、お米に卵、牛肉鶏肉などなど・・・
いろいろな食べ物が検査に引っかかってしまい、
「いったい何を食べればいいの?」という状態になってしまうことがあります。
アレルギー検査の精度
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実はこの検査、精度自体はあまり高くなく、アレルギーがないのにアレルギーがあると出でしまう「疑陽性」という結果が出てしまうことがあります。
特にお腹の調子が悪かったり、ストレスがかかっていると、疑陽性が出る可能性が高くなります。ではどうしたら、本当に食物アレルギーがあるかわかるのでしょうか?
食物アレルギーの見分け方
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一番精度が高いと言われているのが、アレルギーがあると診断が出た食べ物を少量食べる方法です。この時に農薬やホルモン剤などの化学物質が含まれていると、そちらに反応してしまうことがあるため、無農薬やオーガニック認証などがとれている食べ物で試してみてください。
少量食べても「下痢・嘔吐・皮膚のかゆみ・呼吸が荒くなる・目や口など皮膚が薄いところが腫れる・発疹」がでなければその食べ物に対してアレルギーを持っていない可能性が高くなります。
食物アレルギーと下痢の関係
さて、いよいよ食物アレルギーと下痢の関係です。
食物アレルギーの下痢にはTh2(ティーエイチツー)細胞が関係しています。
このTh2(ティーエイチツー)細胞はなにかというと、
白血球をものすご~く細かく分けたときにでてくるリンパ球です。
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このTh1(ティーエイチワン)細胞とTh2(ティーエイチツー)細胞のバランスによって、免疫は保たれています。しかし、そのバランスが崩れてTh2(ティーエイチツー)細胞が多い状態になると、アレルギーを発祥しやすくなってしまいます。
この状態になるとアレルギー発症の準備段階です。
アレルギーの原因物質が体に入ってくれば、いつでも発症できる状態になっています。
※このマスト細胞は血管があるところにはどこにでも存在する細胞です。
特に皮膚の下や腸粘膜、鼻粘膜、眼球結膜など。
マスト細胞からヒスタミンがでると消化管の筋肉が活発に動きます。
つまり蠕動(ぜんどう)運動が活発になります。そのため下痢を引き起こしてしまいます。
蠕動(ぜんどう)運動ってなに?というひとは「【第一回】下痢の原因について」をお読みください。
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マスト細胞はヒスタミンだけでなくロイコトリエンという物質も出します。
これが粘膜を腫らしたり、鼻づまりを起こしたりします。
ですので、食物アレルギーは下痢だけでなく、皮膚の痒みや嘔吐なども一緒に引き起こすことが多いのです。
何日も下痢が続き、皮膚を痒がったり目などが腫れているという場合は、食物アレルギーの可能性も考えてみましょう。
勉強会でスタッフから出た質問
【第一回】下痢の原因について
【第二回】寄生虫と下痢について
【第三回】食物アレルギーと下痢について
それぞれ解説していきました。
発表していく中でスタッフにいろいろと質問を受けました。
アレルギーの人はずっとTh2(ティーエイチツー)細胞が多いままなの?
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Th1(ティーエイチワン)細胞とTh2(ティーエイチツー)細胞は、どちらかが増えるとどちらかが減るという関係にあり、ちょうどいいバランスを保たれています。
それぞれ、
Th1(ティーエイチワン)細胞→ウィルス・細菌・ガン細胞などと戦う
Th2(ティーエイチツー)細胞→ダニ・カビ・花粉・食物などの異物と戦う
という働きがあります。
Th1(ティーエイチワン)細胞が増えすぎると、免疫が過剰に働きすぎて、自分の体を攻撃してしまうという病気になりやすくなり、Th2(ティーエイチツー)細胞が増えすぎると、アレルギーが引き起こされやすくなってしまいます。
お互いちょうどいいバライスを保つことが大切ですね。
しかし、腸内細菌のバランスが崩れたり、ストレスがたまっていたりするとTh2(ティーエイチツー)細胞が過剰に増えてしまう傾向にあります。薬で調整できればいいのですが、今のところ薬での調整は不可能のようです。
お腹の調子が悪いとアレルギーが出やすいの?
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先ほど腸内細菌のバランスが崩れたり、ストレスがたまっていたりするとTh2(ティーエイチツー)細胞が過剰に増えてしまう傾向にありますと説明しました。
腸内環境は「善玉菌」「日和見菌」「悪玉菌」のバランスで保たれています。善玉菌が多い状況だとTh1(ティーエイチワン)細胞とTh2(ティーエイチツー)細胞のバランスが良い状態で保たれています。
しかし、悪玉菌が増えてくると、Th2(ティーエイチツー)細胞が優勢に働きます。
その結果、アレルギーがおきやすくなり、下痢も引き起こされてしまいます。
改善策は?
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善玉菌には、Th1(ティーエイチワン)細胞を優位にして免疫バランスを整える働きがあるといわれています。お薬での調整はできないので、食べ物によって善玉菌が働きやすい腸内環境にしてあげることが大切です。
ハーブは腸内のバランスを整え、善玉菌を働きやすい状態にしてくれます。お腹が弱い子のために6種類のハーブをブレンドした「ピュア物語 お腸美人」がお勧めです。
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お薬のように即効性はありませんが、毎日続けると少しずつ体質を改善していきます。
ストレスがかかっているとアレルギーが出やすいの?
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免疫の細胞を作り出してくれる場所に「胸腺」があります。
この胸腺は成長とともにどんどん萎縮していってしまう不思議な臓器です。
だから年齢が高くなると免疫力が落ちてきちゃうんですね。
さて、体を守るのに欠かせない胸腺ですが、ストレスやステロイドホルモンなどに弱い面も持っています。ストレスが軽い場合には、胸腺は萎縮しても元にもどる力がありますが、ストレスが長く続くと萎縮したままになって免疫力が低下してしまいます。
胸腺がうまく免疫を作れない場合は、腸管などで免疫細胞を作ってくれますが、お腹の調子が悪いとうまく免疫細胞を作ることができません。
ストレスの原因を取り除くとこも大切ですが、同時に腸の状態を整えることも大切ですね。
改善策は?
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三回に渡って下痢の原因について解説していきました。
一口に下痢といっても色々な条件が絡んで起きているものですね。
飼っているわんちゃん・猫ちゃんが下痢をしてしまったときに、参考にしていただけたら嬉しいです。