2017年11月、国立国際医療研究センター病院AMR臨床リファレンスセンターは、抗菌薬・抗生物質の正しい知識や使い方について聞いたネット調査の結果を発表。
抗菌薬・抗生物質とは何かを知っている人はわずか37%、約2人に1人がインフルエンザや風邪に有効と答えるなど、誤解の多い実態が浮上したそうです。
あなたは、抗生物質が風邪やインフルエンザなどの「ウイルス性の疾患」には効かないことをご存知でしたか?
以前にも、薬剤耐性菌(スーパーバグ)の記事を書きましたが、抗生物質の過剰使用の問題は未だに解決されずに続いているようです。
抗生物質を服用すると、体内の細菌の大半は死んでしまいます。
しかし、抗生物質が効かないように変化した細菌が生き残っていくことで、耐性菌の発生サイクルが進んでいきます。
このような薬剤に耐性を持つ菌を作る機会をむやみやたらに増やしてしまうことは、せっかくの抗生物質の恩恵を無にしてしまうことにつながるのです。
風邪やインフルエンザに抗生物質が処方された時は、「抗生物質はウイルス性の疾患には効果がないと思いますが、何のために飲むのですか?」と医師に確認すると良いと思います。
こういった知識を持つことは、耐性菌の発生を防止するだけでなく、副作用の被害を被ることから自分自身を救うことにもなります。
実際に、薬の副作用で年間10万人が死亡しているというデータ[カナダのトロント大学の研究者がアメリカ医師会雑誌(1998年10月)に発表]も出ています。
心臓病、がん、脳卒中に次いで4番目の死亡原因が「薬の副作用」というのは、あまりにも不幸で皮肉な結果だと思います。
薬を飲めば病気が治る、病気になったらお医者さんに治してもらう。
そんな風に思っていませんか?
確かに、抗生物質の第一号「ペニシリン」が発見された当時は、抗生物質に救われた命があったのも事実です。
公衆衛生の問題などがクリアされた現代とは、人々の生活する背景が大きく異なる時代の話です。
人もペットも、食事をはじめとした基本的な生活習慣を見直し、自己免疫力を高めていくことで「治癒」を目指すという方向へシフトしていく必要があるのではないでしょうか。
抗生物質に関する過去の記事もご参照下さい
抗生物質と耐性菌-その1(ウイルス性の風邪が9割)
抗生物質と耐性菌-その2 (最強の抗生物質でも殺せない細菌)
抗生物質と耐性菌-その3(抗生物質が人も動物も太らせる?)